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スペシャル対談
― IEの今とIoT時代のIE ―

慶應大学稲田准教授
  • 慶應義塾大学 理工学部 管理工学科
    稲田 周平 准教授
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  • ブロードリーフ IE部IE課リーダー
    大岡 明

IoT時代だからこそIEは大きく進んでいく

ありとあらゆるモノがインターネットにつながるIoT社会の実現に向けて、日本もいよいよ本格的に動きだした。生産現場やサービスの形も大きく変わり、大幅なコスト削減や利便性の拡大が期待される。そうした時代に19世紀末誕生した生産管理の手法であるIEはどのような役割を担うのか。慶應大学理工学部でIE研究を続ける稲田准教授に弊社IE課の大岡明が聞いた。

狙いは工場やサービスシステムでの生産性の向上

大岡 先生は長年IEの研究をされていますが、どれくらいになりますか?

稲田 もう20年以上になると思いますね。
私の研究室は理工学部の管理工学科の中にあるのですが、生産システムを中心にして、サービスシステムとか、様々なシステムの効率性・利便性を高めるにはどうしたらいいんだろうかという研究を進めています。基本的には今日のお話の中心になるインダストリアルエンジニアリングという部分と、エンジニアリングエコノミー(経済性工学)といいますが、資金運用の側面からシステムの効率性を高めるといったことを研究しています。最近はディープラーニングといったコンピュータサイエンスの技術が急速に進んできていますが、研究的な側面として、ロボットが行う作業をロボット自身が改善できるようになるにはどうしたらいいんだろうかといった研究も行っています。最初にロボットに簡単な積み木を積む作業を教えます。続いて、実際にロボットが作業を行ってみて、自分自身でムダな部分を探して、そのムダを取り除いて良い作業に改善していく。こんなことを実現するための基礎研究を行なっています。

最終的な研究の狙いは、やっぱり「儲かる工場を作りたい」ということです。また、最近はサービスシステムの研究も行っています。美容院やホテル、病院などのサービスシステムの効率性を高めることが狙いです。結果として、利用者の待ち時間を短くしたり、作業の効率性を高めてシステムの利便性を高め、最終的には利用者の満足度を向上させるためにはどうしたらよいかということを模索しています。

慶應大学 稲田准教授×ブロードリーフIE課大岡明対談風景

大岡 研究室を見ると、実際の教材がありますね。バラバラになった部品を組み立てることができる環境で、実際にビデオ割もされているんですよね。その組み立てる様をビデオに撮って、「右手よりも左手の方がいいんじゃないか」とか、「モノはこっちに置いたほうがいいんじゃないか」といったことを実際にやっているんですか?

稲田研究室実験設備

稲田 そうですね。研究室の学生がよってたかって、物流も含めて、作業改善をしながら、できるだけ早くこのカート(足こぎ自動車)を組み立てることを実際にやってもらっています。ライン生産をイメージしていて、こちらからバラバラになった部品を少しずつ組んでいって、向こう側でできあがるイメージです。最初に、自由に組み立ててもらって実際にビデオに撮るんですね。その後、OTRS等を使いながらで実際に作業分析をして、その中で「ムダはこの辺にあるね」と、作業分析してもらった上で改善をすることをやっています。

分析負荷を減らすOTRS

大岡 IEの勉強をするとき、よく課題として出てくることですが、分析の手間というか負荷というか、「時間研究をやりたいんだけどなかなかできない」ということがよくあります。OTRSはまさにそれを考えて作っているソフトですが、IEを普段教えている側からすると、その辺はいかがでしょうか?

稲田 まさに、おっしゃる通りです。時間研究というのはとても時間がかかるんですね。ビデオを進めたり戻したりと、とても手間がかかるんですが、やはりソフトウェアがあると、学生の分析負荷を下げることができる。本当にモノをみるところに集中できるというか、考えなければいけないことに目が向くのでとてもいいですね。最終的に狙いたいのは、ムダをうまく見つけたり、時間短縮をして改善をうまく進めるところです。学生が分析すると、ついつい分析すること自体がメインになってしまうんですね。分析ばかりに気をとられて、結局、分析のために分析するみたいなことになってしまう。そこをできるだけ少なくしてあげて、頭を使うべきところに頭を使ってもらいたいという思いでOTRSを導入しました。

大岡 実際に、こちらで講義や実習のなかでOTRSを使われるときに、比較で見せたり、実際にムダがある状態、ない状態とかやられていると思うんですが、受講者の方の反応ってどうですか?

稲田 学生はとても便利だと言っています。

大岡 ストップウォッチを使って手作業で時間分析を行うのと、OTRSを使って分析するのではどれくらい時間短縮できるでしょうか。先行的に調査したケースでは55%削減なんていう例もありますが。

稲田 学生にも大きな負担軽減の効果が出ていると思います。

 慶應大学稲田准教授×ブロードリーフIE課大岡明対談風景

経験や勘だけではいずれ行き詰る

大岡 先生がIEに関心をもたれたのはなぜかなというのを伺いたいんですが?

稲田 個人的に昔から何か仕事をしている人を見るのが大好きだったんですね。ゴミ収集車などをじっと見ているのが大好きでした。その後、大学に入って、仕事を改善する学問があるのを知って、ああ面白いなあと感じたことと、もう一つは私自身がずいぶん工場に連れて行ってもらったりして、IEは実際に役立つ学問だと思ったことでしょうか。そんなところから興味を持ち始めたんです。

IEのすごさは仕事を科学的に管理するという発想にあると思うんです。今では、もう当たり前のことのように思えますけど、これ自体は相当に革新的なことなのです。そして,そのベースになる理論がIEです。サービスシステムでも生産システムでも同じですが、効率性を高めたり、利便性を高めたりすることは、どんな人にとっても大事なことだし、それを的確に進めていくためには、仕事をよくみて分析することがとても大事なんです。

大岡 IEは枯れた技術だという人もいます。歴史も古いですし、でも今だからIEだという人もいます。先生の見解はいかがですか?

稲田 そうですね、私のやっていることはオールドIEと揶揄されることもありますが、やはり、実際に工場の中で生産性を高めることを本当にきちんとやろうとすると、こういう基礎的な理論と技術が不可欠です。こういうことは本で学ぶだけではダメで、実際にやってみることがとても大事だと思っています。それから、今日の製造業をはじめとしてさまざまな業界では、クオリティとかコストという観点に加えて、時間という概念が特に重要になってきていると思います。できるだけ早くお客様に物を届けるということ自体が、すごい競争力になっている。そういう中で、時間短縮というのは、古典的なテーマですが、製造業をはじめサービス業も含めてとても大事なテーマだと思っています。

大岡 そういう意味でIEが枯れることなく、むしろ、今の時期だからこそ競争力をつけるという意味では大事ですね。

稲田 そうですね。でも、実際に企業に行くと、分析などしなくても、見ていれば改善できるよと言う方々に出会うことがあります。しかし,仕事を本当に突き詰めて改善しようとするとき、時間分析とか、ビデオを本当によく見るということがないと、あるところで改善は止まってしまうんですね。パッとみたところの直感的な改善だけで終わってしまいます。そこから先に進むためには、やはり仕事を丁寧に筋道立てて分析する技術を学ぶことがとても大事なことだと思っていす。

少し残念なことですが、工場の中でもそういった時間分析をまじめにやろうという会社が今かなり減ってしまったんではないかと思っています。しっかりとIEを勉強しようという企業が少なくなってきているように思います。経験とかとかで、「ここの仕事は楽にできるね」「ここは改善できるね」というような所にどうも陥入りがちで、壁にあたってらっしゃる会社が多いような気がしています。そこを突破するためには、地味で大変なんですけど、時間研究をはじめとした分析の方法論を勉強して、実際にやってみるということがとても大事だと思っています。

大岡 先日、縁あってOTRSをご購入いただいた、あるメーカーさんのところに伺っていろいろ話をしたんですが、そのなかで「よくIE、IEと大岡さんは言うけども、IEってかいつまんで何ですか?」という話になりました。そこで、「社内でIEというのはやっていないんですか」と逆にこちらから聞きました。部長クラスの方は「若い頃はやりました」とお答えいただきましたが、課長クラスの方になると「聞いたような、聞いてないような」という感じでした。また、いろいろな職業の方が80名ほど参加したIE研修でアンケートを行ったんですが、びっくりしました。「IEを知っていた」という回答は2割なんです。8割が知らなかったんです。

稲田 そうですね。メーカーでも、時間分析をしっかりと行えているところ、あるいは精緻な標準時間をタイムリーに整備できているところはそう多くはありません。更に,本当に標準時間をうまく使いこなして生産管理を行っているところは、ほんの一握りだと思います。ある工場で「ベルトコンベアの速度をあげたら、生産性はすぐ上がりますよ」と言われたことがありますが、これではいけません。

大岡 もはや管理じゃないかもしれませんね。それは最後にやるべきことですね。機械ですから各部の動きを早くしてしまえば結果的には速くなりますけど。本当に効率的かというとそうじゃない気がします。

大手自動車会社がOTRSを使い始めたら、改善が楽しいって話になってくる。どこが対象かが分かりやすくて、対処法も出てきやすい。したがって成功しやすい。それで改善するとみんなが喜んでくれる。引いては顧客のためなわけですから、当然お客さんが喜んでくれる。それを全部の部署でやったときに、全体的に例えばコストが下がるとか、安全性が高まるとかいうことが達成できた時の喜びは大きいですよということはよく言われます。やっぱり時間を計りたいわけではないんですよね。そこから何かできないかということが大事だと思います。

時間研究のイメージ

標準時間が生産管理の基本

稲田 やはり、標準時間が生産管理の基本だと思っています。標準時間を決めて、実際の作業がそれよりも早く行えているようであれば何かいいやり方が隠れている訳ですから、標準作業と標準時間の見直しを進める。標準時間通りにうまくモノが作れていなかったら、そこに何か問題があるわけですよね。作業者のスキルが十分でないとか、モノの配置が良くないとか。そこに改善の種が隠れている訳です。そういう意味で、仕事を管理するための一番の基本は標準作業と標準時間であり、それが整備されていないのはやはりおかしいですよということです。それからもう一つの重要な概念は、モーションマインドです。モーションマインドは大雑把に言えば、作業を見て、問題がどこにあるかとかいうことが分析しなくても、自然に分かってくる能力や気持ちのことです。ただ、このモーションマインドは、本当にきちんと時間分析をしないと身に付かないと言われています。IEを正しく理解している会社は、どこもモーションマインドを意識しています。モーションマインドの育成に向けて,かなり微細のところまで時間分析を実施しています。そういう意味でも、やはり時間分析は大事だと思います。

最近、標準時間を使いこなしている会社が少なくなったという背景には、多品種少量になっていて、分析するというのはやはりとても手間がかかることなので、そういう中で「もういいや」「どんぶり勘定でいこうや」といったことが一因にあるようにも思っています。分析を支援するためのうまいツールがあれば、そこを解決するための道が開けると思うんです。

物流倉庫イメージ

物流などのサービスシステムにこそIEが必要

稲田 モノづくりの現場にはIEが比較的浸透していますが、サービスシステムではまだまだその活用が不十分だと思っています。物流業界がそうですし、病院などのサービスシステムでは、IEが活躍できる場面がたくさん残っていると思います。

大岡 そうですね。分析対象が工場でモノを作っている作業なのか、あるいは引越しをしている作業なのか、あるいは接客をしているのか、という違いはあれど、やることはおそらく一緒だと思うんですね。仕事に対して、顧客にとって価値のある仕事とそうでない仕事を分けていって、価値のある仕事の比率を高めていきましょうという考えがIEですから。そういったところで、OTRS単体でいえば、いろんな市場で使っていただきたいと思います。IE自体も同じような方向性だと思いますね。

稲田 例えば、インターネット活用の進展に応じて物流拠点の効率性向上というのが非常に重要なテーマになっていますが、率直に言って、いまの物流業界というのはまだまだIEとは縁遠い世界ではないでしょうか。時間を通じて仕事を見るという観念を積極的に取り入れていただくことで、もっとシステムの効率性は上がってくるように思っています。病院やホテルについても同じことが言えると思います。

大岡 例として、「おすし屋さんとIE」ということがいわれると思うんですよね。おすし屋さんが上手いと思うのは、ロスが生まれたら損するじゃないですか。だから、先にマグロを握って置いておくことはしません。注文があってから作るわけですよね。最適な製品を最適なタイミングで握り、お客様にお出しする。ジャンストインタイムで出せるわけですよね。これは、おすし屋さんの大将が注文をもらったら、どんなオーダーであれ、できるスキルを持っているからできる話です。もし、タマゴが握れなかったら、タマゴを握れる人を用意しなければいけないし、アナゴならアナゴでってなるわけでしょ。それは、おすし屋さんの大将が今までの経験のなかで培ってきたものです。おすし屋さん並のサービスがいいのかどうかは分かりませんが、でも、サービス業のパン屋さんにしても、クリーニング屋さんにしても、もう少しシステマチックにおすし屋さんの大将のような感じでできるんじゃないかなと思います。そこもIEが生きていけるきっかけになると個人的には考えています。

IoTイメージ

IoT時代を迎え、IEは大きく進んでいく

大岡 IoT時代とかインダストリー4.0時代ということが、いま大きくクローズアップされていますが、こうした時代のIEはどうなるんでしょうか。古典的に残すところはもう分かっています。より良い動きは一つしかないという話だと思いますが、この先、IEというのはどうなるんでしょうか。人間工学をはじめ、IEと相互補完であったり、影響しあっている学問はいっぱいあります。それらをひっくるめて、こうした技術体系は新しいものに変わるのか、あるいは今あるものがさらに拡大されていくのか、どんな感じなのかなあと、素朴な疑問を感じています。

稲田 IoTとかITは、いまたいへん進歩してきていますけれども、IoTやITの進化によってIE自体も大きく進んでいくだろうと思っています。再び、IEのニーズは見直されていくと思います。
一つは、先ほども申し上げた画像認識のようなものですね。ディープラーニングみたいな要素が入ってくると、飛躍的に分析技術が高まってくる。もう一度、IEを使って工場の中を分析し直してみようという会社が非常に増えてくると思っています。
もう一つは、ビッグデータの処理技術が飛躍的に高まっています。工場の中でIoTを通じて各種の生産データが集まっていて、その集まったデータを分析して、改善箇所の特定や改善課題の抽出といったことが出来るようになることも夢ではないと思います。簡単な改善案を考えてくれるといったことも実現されるかもしれない。いずれにせよ、そういう技術と融合することで、IEは更に大きく進んでいくんじゃないかと考えています。

大岡 IoTのプラットホーム内の情報にはいろいろなものがありますよね。温度だったり、加工実績だったり、検査実績だったり。当然、動作時間や映像も含まれるでしょう。それらから導き出されたものに対して標準を作るというのが進化したOTRSなんじゃないかなということで、いろいろな研究をようやく始めたところです。とににかくきちんと研究しないと次には進めませんので、まず研究段階で実証実験をいろいろやってみたいと思っています。やはり、日本の工場というのは世界の工場に比べて、IoTという名前が付く前からIoTだったところもありますからね。やはり世界の模範となれるぐらいのことができると思うんですね。

稲田 そうですね。実務家の方々には大変に重要なテーマですし、研究者としても大変に興味深い課題だと思います。産学で連携して、その内容を進展させていかなければならない分野だと思います。

大岡 コンピューターの性能も上がった、ソフトウェアの性能も当然上がった、撮る機材もどんどんよくなってきている。ビデオカメラも・・・。いまではスマートフォンなんかも使えるわけですから。そうなると取得することがどんどん増えて、これからIoT時代を迎えると、映像の取得も含めて、いろいろな周りの情報を集めてくることになりますからね。そのなかでIEという古典技術をうまく適応していきたいと思います。

OTRS10サンプル画面

OTRSに望むこと

大岡 最後に、先生からOTRSをもっとこうしてほしいといういことがありましたら?

稲田 研究者の立場としては、現在、画像認識の研究分野では、画像データの中に存在する作業者や部品,工具といった画像を、1つの物体として認識する技術が急速に高まっています。いわゆる深層学習とかディープラーニングといいますけども、最近は、色々な種類や表情の猫が出てきても、それが猫だと認識できるようになってきている。ぜひ、このOTRSのなかに、そういう、「部品Aを掴んだね」とか、「これは部品Bだね」といった技術が入ってくるともう一つ大きく進んで、分析はもっと楽になると思うんです。ですから、その辺り技術を、今後のOTRSの改良に加えて頂きたいと思っています。

最後に、モノづくりを行う現場に行っても「IEってなんですか?」「インターネットエクスプローラーですか?」とか言われたりすることもしばしばです。ベースになる理論がなくなってしまった状況で、「改善」という言葉だけが独り歩きしている感を強く受けています。OTRSもひとつのお力添えいただけると思っているんですけども、ぜひ、そういうツールを上手く使いながら、改善を支える基礎理論であるIEをもう一度見直して頂きたい、勉強し直して頂きたいというのが、IE研究者としての思いです。

※この対談は2016年9月20日、 慶應義塾大学(矢上キャンパス)稲田研究室で収録されたものです。

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